10月12日の鈴木元氏のFacebookへの投稿を紹介 忙中閑あり、近年の6年に出版した6冊の本を紹介

鈴木元
忙中閑あり、近年の6年に出版した6冊の本を紹介10月12日鈴木元
 9日解散、15日告示、27日投票の衆議院選挙戦が始まった。私は解散の前日の8日にその時点での論評を行った。この連休で選挙戦の骨格が決まるだろう。それを踏まえて次の論評を書くことにする。そこでその背景となる時代認識について近年6年間に書いてきた6冊を紹介する。
 1991年ソビエト連邦が崩壊し混乱の中で資本主義国になった。その前の89年90年に東欧が崩壊していた。中国・ベトナムは引き続き共産党一党独裁体制で社会主義国を名乗り続けてきたが、改革開放の名によって外資導入・私的経営を承認した。その結果、大飛躍し社会主義神話は崩壊した。私はこれらを見聞し、世界は1917年のロシア革命以来、数十年ぶり、もっと言えば産業革命以来数世紀ぶりの大きな変化が起こっていると考えた。そして世界はどこからきて何処に行こうとしているのかを解明することを人生後半の重要な仕事としようと考えた。しかし私のような浅学非才のものに簡単に書ける訳がない。そこでこの6年間、順を追って書き続けてきた。

(1)2018年11月「異文化理解・協力の旅」(文理閣 TEL 075-351-7553)

 第一部、ベトナム、中国、モンゴルでの国際協力事業を通じて見えてきたこと考えたこと。第二部、異文化理解の旅として、日本人があまりいかないチベット・ブータン・ミャンマーへの旅行で見えてきたこと。第三部、今では顧みられなくなった社会主義を考える旅としてロシア、キューバ、旧東ドイツ、オーストリア、チェコ、イタリアを旅して考えたこと等を書き記した。

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(2)2020年7月「コロナ後の世界 世界を一歩前進させるために」(かもがわ出版 TEL075-432-2868)売り切れ、アマゾンで中古を購入出来る。

 この本では1)先のソビエト連邦崩壊以降の世界の構造変化について2)資本主義の危機と将来、3)西洋中心、感染症を無視してきて世界史の見直し、史的唯物論についての再検討を提起した4)世界を一歩前進させるために、人類が直面している少子高齢化、気候変動、移民・難民問題、核兵器・原発、格差と貧困をもたらしているグローバル資本主義、民主主義の危機などの問題について、その克服方向について論じた。しかしコロナの世界的大流行が襲っていたので最初に2020年冒頭(厳密には2019年12月)中国の武漢から始まったコロナについて触れない訳にはいかないので、第一部としてコロナの「発生」から世界的流行にいたるまでをルポルタージュ的に論じた。そして続く各部においてもコロナとかかわって補強して論じた。ほとんどの問題が今日につながっており、こごで記述したことは古くなったとは思っていない。

Bitly

(3)2022年4月「ポスト資本主義のために マルクスを乗り越える」(かもがわ出版)売り切れ、アマゾンで中古が購入出来る。

 以上のように考えてくると社会主義の問題について本格的に考えざるを得ない。そこで私は、資本主義の勃興と社会主義思想の成立からロシア革命・中国革命、現代的変革などについて全面的に論じた。マルクス主義の到達点を踏まえながらも歴史的制約性を明らかにし、ポスト資本資本主義のためにはマルクスを乗り越えなければならないと論じた。

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1)産業革命によって資本主義が勃興し資本家と労働者の階級対立が生じてくる中で各種社会主義理論が登場した。当時、マルクスはプロレタリアートは革命によって国家権力を掌握し、その力によって資本主義的私的所有を社会化しそれを計画経済によって効率的に運営すべきと説いた。これに対してプルードンなどは「国家権力によって生産手段の公的所有化は進めることは独裁につながる。社会主義はなによりも自由でなけれはならない」と説きマルクスに反対した。エンゲルスはマルクスの理論を科学的社会主義、プルードンなどの理論を空想的社会主義と論じた。しかしその後の世界の歴史的経緯を見るとプルードンの「生産共同組合などによって、生産現場において資本と労働の対立をなくす」などの主張は再吟味すべきであろう。共産党は過去も今もプルードンを全面否定したままである。
2)ロシア革命や中国革命は遅れた国において少数者の武装勢力によって権力を掌握した革命であった。それに対してイタリアのグラムシなどが先進国においてはそれは成り立たず、世の中で多数派になりながら、選挙闘争を通じて一歩一歩社会を変えていく構造改革論を論じた。共産党は今日までグラムシを否定したままである。しかし共産党はその後、人民的議会主義の名において選挙を通じての社会改革を論じるに至った。プルードンの理論とグラムシの理論の融合発展に先進国における社会改革の道がありそうである。3)エンゲルスはマルクスによって史的唯物論と剰余価値の二つの発見によって社会主義は科学となったと論じた。そこで私は本著において史的唯物論と剰余価値についてその歴史的限界について詳述した。4)以上を踏まえポスト資本主義に向かう変革の方向について論じた。その中で民主的変革を進めようとしている共産党は党首を全党員参加の選挙で選ぶ事さえ行っていないことは改めるべきであると論じた。しかしこの当時、共産党は私がこの本で論じた党首公選制などの提言について批判的意見を述べることはなかった。しかし22年8月になって党建設委員会の名によって「革命党」の在り方として党首公選制は行わないと逆の方向に舵を切った。
 なお共産党の志位議長は、その後マルクスの「資本論」や「資本論草稿集」を引っ張り出して「共産主義=自由論、自由な時間論」を展開し全党にその学習を提起を押し付けている。これについて私は既にフェイスブックで批判しているので、ここではくり返さない。興味のある人は私の「マルクスを乗り越える」と志位氏の「共産主義=自由論」を読み比べてほしい。志位氏の本は共産主義の辿った歴史的経緯も現実社会との格闘もなく資本論と草稿集の引用を中心とする訓詁学的な本である。私の本はマルクス以来、ロシア革命や中国革命を踏まえ現実社会と格闘した本である。同時にマルクスなどの社会主義理論の検討だけではなく、アダムスミスやケンイズなど多様な論の検討を行い今日の社会の変革について幅広い角度から論じている。社会主義・共産主義を考える人は志位氏の本だけを金科玉条に読むのではなく、少なくとも私の本を読み視野を広げてほしい。

(4)2023年1月「志位和夫委員長への手紙」(かもがわ出版)売り切れ、アマゾンで中古を購入してください。

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以上の検討を踏まえ、私は共産党がこのまま改革しないで行けば共産党は国政レベルでは取とるに足らない勢力になると思い、何回も志位指導部にたいして長文の意見書を上げてきたが一切回答は無かった。そこで23年1月に「志位和夫委員長への手紙」を出版した。党創立101年の年であり志位委員長などが党史を語っていたので私も党の歴史と関わって様々な角度から論じた。例えば志位氏などは「戦前、戦争に反対したのは共産党だけであった」と論じているが1937年に日中戦争が始まった段階では中央委員会は無くなっており(1935年)、共産党は組織だった反戦運動は出来ていなかった。しかし京都のリベラル派の人々や横浜の社会民主主義者の人々による反戦運動があった。これを評価しないような歴史認識では反戦平和の統一戦線はむつかしいであろう。宮本顕治委員長が不破氏や志位氏を後継者指名したことにより今日まで前任者が後任者を任命するというやり方が続き、指導部を選挙で選ばない桎梏になっていることを明らかにした。そして党首を含めて指導部は定年制・任期制・党員による直接選挙を導入すべきであると論じた。決定は例外を除いて満場一致というのは、自由で活発な討論がおろそかにされ党の活力を奪っている。少数意見の尊重による活発な討論によって多数決制を定着せること。マルクス流社会主義論から脱却し社会変革を願うあらゆる勢力との統一を図るべきである。党を疲弊させている党勢拡大月間方式を一旦中止し、あり方を抜本的に検討する等を提起した。

(5)2023年12月「さようなら志位和夫殿」(かもがわ出版)二刷分は残っており、かもがわ出版に注文すれば手に入る。

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上記の「志位和夫委員長への手紙」の出版と同じころ、元日本共産党中央委員会政策委員会に属し外交部長であったかもがわ出版主幹の松竹伸幸氏が「シン・日本共産党宣言」(文芸新書)を出版した。両方の本はともに党首の公選制を提起した。これにたいして志位指導部は問答無用に松竹氏を2月6日に除名した。そのころから志位・小池・市田などの共産党幹部は党内で私と話することもなく演説会などの開かれた場所で一方的に私を批判し始めた。私は党内問題を党外に持ち出しているのは志位委員長などの幹部ではないかと批判せざるを得なくなった。そして彼らは私を3月16日に除名処分とした。そこで私は3月17日にそれを批判する記者会見を東京で行った。以来私はフェイスブックなどでその都度、志位指導部の言動を批判してきた。それらをまとめて「さようなら志位和夫殿」として出版した。

 市田忠義副委員長は沖縄の演説会において「鈴木は私がタワーマンションに住んでいるなどと言っている。私はタワーマンションとタワーマンションの間の小さなマンションに住んでいる」など私を嘘つき呼ばわりの攻撃を行った。事実は彼は7000万円から8000万円する20階建てのマンションの14階に住んでいる。それを京都の自宅も売らずローンも組まず購入していた。そして彼の「規約と党建設」(新日本出版社)を「赤旗」に四段抜きの広告をださせ全国47都道府県委員長に名前入りで「私も推薦します」と掲載させるなどの党私物化を行っていることを明らかにした。

(6)2024年8月「世の中を変えたいあなたへ 時代と向き合ったある庶民の八十年」(あけび書房 TEL 03-5888-4142)

推薦 内田樹(神戸女学院名誉教授⊡凱風館館長) 安斎育郎(立命大学国際平和ミュージアム終身館長)
世の中を変えたいあなたへ 時代と向きあって生きたある庶民の八〇年
『志位委員長への手紙』の筆者による波乱万丈の80年の人生を振り返る、豊かな実践と深い自省の書。 推薦・内田樹氏(批評家、神戸女学院大学名誉教授)、安斎育郎氏(立命館国際平和ミュージアム終身館長) 表紙絵・成瀬正博氏

私・鈴木元は今年の8月8日で80歳(傘寿)になった。明らかに人生の節である。そこで自伝的書物として上記の本を出版した。私は高校1年生の時、いわゆる「60年安保闘争」に遭遇し参加し社会問題に芽生え高校に民主青年同盟を組織し初代班長となり、1962年18歳になった高校三年の時に日本共産党に入党した。したがって私の人生の大半は共産党員として生きてきた。そこで自叙伝的書物であるが私が体験した日本の社会運動、共産党の活動について私の多彩な経験を綴ると同時に自省する内容について率直に記した。したがつて社会を変えたいと思っている人に様々な角度から参考になると思う。

 私は立命館大学の学生時代、日本で最初の部落解放同盟の大学攻撃と闘い打ち破った。また全国で初めてマンモス私立大学の全学自治会(学友会)を民主化した。続いて全共闘を名乗る暴力集団と命を懸けた闘争を行い彼らの影響力を打破した。これらの闘争の上、1000名の党員3000名の民青の組織を作り上げた。共産党の専従職員時代、京都府員会の常任委員として衆議院の中選挙区制の下、梅田選挙本部長として5名区で複数当選(梅田勝・藤原ひろ子)を果たすなど日本共産党の最先端の活動を経験した。その後家庭の事情で専従職員を辞め、かもがわ出版編集長代理を経て立命館に移り総長・理事長室室長などを務めた。この時、中国の温家宝首相の来学を実現するなど日本で最も多彩な国際協力活動を経験した。同時にこの時期、妻が倒れ仕事と介護の両立を追求する草分けとなり24年間従事してきた。私のこの多彩な人生経験は、これから社会を変えたいと活動する人々にとって、きっと何らかの参考になると思います。多くの人に読んでいただくことを期待しています。次は衆議院選挙について書きます。

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