鈴木元氏がFacebookで参議院選挙京都選挙区での「共倒れ論」について論及

鈴木元

参議院京都選挙区での共倒れ論について 2月13日 鈴木元

2月10日、西郷南海子氏が参議院京都選挙区に立候補するとの記者会見が行われ、京都新聞をはじめ各紙で報じられた。その後、共産党関係者などから、それでは倉林明子氏と共倒れする。西郷氏は立候補を取り下げるべきだという意見があちこちで出ているので検討してみる。

西郷南海子氏は安保法制に反対するママの会の呼びかけ人などで京都で市民運動を展開してきた。そして2024年の京都市長選挙において、「つなぐ京都2024」共同代表として福山和人候補の候補者選考から関わり、その当選のために街頭演説などでも頑張り注目を集めていた人である。その西郷氏が、れいわ新選組の候補者として出馬するというのである。

共産党関係者からの、共倒れ論は①自民党の西田昌司氏の当選が不可避で、後の1人は革新勢力が取るべきであるとの論建てになっていると思われる。しかし共産党が参議院選挙の政治目標として、衆議院選挙に続いて「自民党政治を終わらせよう」と主張するなら、野党は共同して自民党の西田氏、そして万博とIRを推進しようとしている維新の新実彰平氏を落選させる取組が必要だと考える。おそらく参議院選挙でも自民党の金権腐敗が大きな争点になるだろう。また京都の重要な争点として西田氏が推進役として進めてきた北陸新幹線延伸問題、維新が進めてきた万博・IR問題がある。だから野党は手を携えて共同して自民・維新をおいおとさなければならないと考えられる。

②2019年の西田氏、倉林氏が当選した参議院選挙の得票は、この間6年間の政局の推移をみれば、今度の参議院選挙の予測にはほとんど意味がない。前回23年の参議院選挙、昨年2024年の衆議院での共産党の得票は12-14万票で政党別では第4位で西郷氏が出馬しようが、しなくても倉林氏の当選は極めて難しいのが今の状況である。だからこそ共産党の倉林陣営、れいわの西郷陣営はともに協力して、いかに自民党の西田氏そして維新の新実氏を落とす取り組みを行うかが重要である。

6年前の2019年の参議院選挙京都選挙区では、れいわの山本太郎氏が倉林氏を応援し数万単位の票が倉林氏に流れたと推察されている。しかし共産党の第29回党大会、2中総の秘密報告において「れいわを民主政党として扱わない、共闘の対象とはしない」ことを確認しているのだから、共産党がれいわに協力を求めて「候補者を降ろしてほしい」と表立って述べることは出来ない。こうした点も含めて2019年の参議院選挙と異なる政治状況にあることを踏まえる必要がある。れいわが候補者を出すことについて「共倒れの危険」を述べているが、それでは同じく野党である立憲が候補者を擁立した場合、降りるべきだと述べるのか?しないだろう。それでは西郷氏にたいして降りるべきだという論は「西郷氏への甘えの論だ」と思われても不思議ではないと考える。選挙には誰でも立候補できる。

客観的事実として昨年の衆議院選挙において共産党は前回の10議席・416万6076得票から8議席・336万2966票に後退した。れいわ新選組は前回の3議席・221万5648票から9議席・380万5060票へと大幅前進した。現在では、れいわの方が共産党より支持を広げている。2月1日2日に行われたNHKの世論調査によると、支持率において共産党は1.9%、れいわは4.2%となっている。共産党の方が大きいのだから共倒れを防ぐためには、れいわは候補者を降ろすべきだという意見は社会的には説得力を失っている。もちろん別の客観的事実として過去の反映として府会議員、市会議員などの地方自治体議員の数では圧倒的に共産党が自民党に次ぐ議席を持っている。結局のところ共産党の倉林氏、れいわの西郷氏のどちらも有権者の心をとらえ支持を拡大できるかだろう。

11日の京都新聞24面の論評記事において、共産党京都府委員会の渡辺和俊委員長は「れいわは野党共闘を破壊している。自民党政治に対峙できるのは倉林さんだけだ」と述べている。西郷氏は「政権交代のチャンスが近づく中、倉林さんとともに国会へ、という風に打ち出していきたい」と述べている。

2019年の参議院選挙を前にした2018年10月28日、共産党京都府委員会のウェブにおいて渡辺府委員長は「正面の敵は自民党だ、京都など複数区では他の野党と競り合って、自民党を落として勝つの立場で闘います」と述べていた。こちらが正論だろう。

西郷氏は記者会見において「れいわ新選組の立候補公募が行われていたので、それに応募した」と述べている。共産党が公募していたら西郷氏は応じただろう。共産党はいまだに中央(志位指導部)が候補者を決めるやり方を行っているため、西郷氏のような人材を登用する仕組みを作れていないことこそ見直すべきだろう。ところでれいわ新選組は10日の記者会見、11日の山本太郎と語ろうの集会をユーチューブで流していた。そのアクセス数はいずれも50000を超えていた。共産党の志位氏や田村氏の記者会見などのユーチューブのアクセス数はせいぜい1万数千件程度である。西郷氏のブームが起こるかも知れない。

コメント

タイトルとURLをコピーしました