党創立102周年 田村委員長講演について 鈴木元氏がFacebookで強烈批判

鈴木元
党創立102周年 田村委員長講演について
 沖縄での大敗北、東京知事選挙・都議補選での惨敗について。きちんとした総括を示さず、チャンスとして党勢拡大を訴える無責任さ
 7月13日、党創立102周年記念講演が開催され田村委員長が記念講演を行った。1月に開催された第29党大会後最初の党創立記念集会であり、今年の三つの政治戦である沖縄県会議員選挙、東京知事・都会議員補欠選挙、そしてそれが総選挙へと続くが、肝心の総括が示されなかった。いずれの選挙結果についてもすでにこのフェイスブックで触れたので重複をさけ、その政治的評価と関わってふれる。
 沖縄は安保問題・米軍基地問題の焦点の県である。この県において革新統一のかなめの役割をはたしてきた共産党県議員団が7名から4名へと3名(4割り)を落選する大敗北をきたしたのである。なぜそうなったのかの総括を抜きに、次への新たな前進の方策は出てこない。
 都知事選挙「知事対蓮舫氏」と言い、蓮舫氏の立候補に当たって共産党の小池書記局長は「最強・最良の候補」と言って、いち早くその必勝のために全力を尽くすと述べた。
 テレビを見ていると、結果が出た時、蓮舫候補は涙を流しまともに語れなかった。横にいた小池書記局長・山添参議院議員はうなだれ茫然自失状態であった。つまり彼らは小池氏と良い勝負をしていると思っていて、まさか石丸氏にまで敗れるという事態に言葉もなかったと推察される。
 ところでこの選挙結果は政治的にどういう意味を持つのだろうか。
 自民党は金権腐敗で国民の支持を失い、都知事選挙で独自候補を立てることができず、小池知事の軍門に下った。そして都議選では8名出して6人が落選し2名しか当選しなかった。時事通信が7月5日6日に行った世論調査で内閣支持率はついに15.5%まで下がり、総裁選挙に向けて前首相の菅氏が公然と岸田首相の退陣を表明した。
 政権政党である自民党にすり寄った維新の会は2名出して、当選者は0であった。そして朝日新聞が連載を開始したように内部で自民党へのすり寄りをめぐって路線対立が表面化した。
 立憲民主では、都知事選挙結果をめぐって前原氏などが予てからの持論である「共産党との共闘が間違いであった。非自民・非共産を明確にするべきである」といだし代表選挙・衆議院選挙巡って公然とした議論になるであろう。
 共産党を含めた野党共闘は当然のことであり、それを抜きにして知事等の首長選挙や小選挙区制の下で国政選挙での政権交代を目指す選挙などあり得ない。問題はその選挙のやり方である。私が警告し止めて置くべきとした、共産党・立憲を前面に出した党派選挙にしてしまい無党派層を石丸氏に持って行かれたことである。ここをきちんと総括しなければならない。ただ石丸氏がこのままスムーズに政界での位置を固めて行けるかどうか分からない。かれの言動を注視したい。
 ところが10日に記者会見した志位議長は「大健闘。次につながる」と表明。これでは国民そして共に戦った立憲、そして大多数の共産党の党員・支持者の気分と異なる評価である。そして田村委員長は記念講演で情勢を「チャンスである」と述べ党勢拡大の成功へのハッパをかけた。現在はチャンスとの情勢認識なのである。講演ではその例として自民党の惨状、様々な政治課題での反国民性をあげている。情勢判断は彼我を見なければならない。闘う相手の状態だけではなく味方の陣営の状況を含めて総合的に判断するものである。田村氏を含めて志位議長、小池書記局長などの情勢報告は相手側の欠陥だけを見た情勢論でチャンス論を述べる根本的な誤りを犯している。党大会からすでに半年が経とうとしているのに党大会決定読了者は3割のまま、党員の四割は赤旗を講読していないまま。こうした解党的状況ではいかに自民党が支持を減らしても共産党への支持は広げられない。23年間委員長を務め、ここまで共産党をつぶした志位氏の責任は逃れられない。
 東京都議補選で共産党は4名の候補者を出して、当選者はゼロであったことは先に記した。その後、どのような人が候補者として闘ったのか調べてみて驚いた。3名はいずれもベテランの現職で区会議員団の幹事長を務める人々であった。後2年半残す現職を止めさせて都議選に挑戦させたのである。つまり都会議員に当選するチャンスだと考え現職の幹事長を止めさせて立候補させたのである。後の1人は2期目の現職であった。共産党は大きな損失を招いた。大幡基夫選対局長をはじめとする選対局や書記局はどのように情勢を見ていたのか。12日、山添政策委員長の記者会見が行われた。山添氏は冒頭、自衛隊の腐敗問題を取り上げた、当然のことである。続いて記者たちから沖縄県議選、東京都知事選・都議補選について聞かれたが答えられなかった。見た限り、そうした質問が出ることを想定した用意さえしていない、しどろもどろの応対であった。明くる13日の赤旗には自衛隊問題で追及の発言をしたことだけが報道され、沖縄県議選や東京都知事選挙や都議補選については発言ついては一言も論じられなかった。これらのこの選挙の総括も示さず田村委員長が「チャンス」論を説いたり、志位議長が「次につなく大きな前進」などと説くことは、共産党は政党としての現実的判断が出来ない組織であることを改めて示した。
 知事選・都議選中幹部は何をしていたの
 田村委員長、小池書記局長、東京選出の山添・吉良参議院議員は蓮舫候補に張り付いて街頭演説を行っていた。彼らは街頭演説の雰囲気だけて蓮舫氏が大活躍していると錯覚し選挙結果に打ちのめされる状況であった。街頭宣伝だけではなく組織戦はどうなっていたのか。
 私は京都市長選挙で木村万平さん井上吉郎さんの選挙を担当した。木村さんは321票差、井上さんは4092票(得票率で0.9%差)で敗れ自分の力のなさ痛感させられた。いずれも小学校区単位で選挙組織をつくり宣伝だけではなく支持拡大、棄権防止活動をすすめ学区単位で彼我の状況をつかめていた。木村さんの選挙の時、投票日は雨だった。わが方は電話で棄権防止活動を行っていた。相手側は確保した土建業者の車で棄権防止活動を行っていた。私は投票箱の蓋が閉まったとき、力関係は五分五分だが最後の最後で僅差で敗れたと思った。田村・小池・山添・吉良氏そして立憲の指導部たちも現場の組織戦に関わっていず、実際の情勢判断は出来ていなかったと推察する。きちんとした組織戦を行っていたら「追い上げ大接戦」などの判断は出て来なかった。市民連合として立憲・共産党も入った統一的な選挙指導部もなかったのが実態であろう。責任は重い。
 穀田国対委員長は京都市中京区の市会補欠選挙にかまけて首都東京の選挙にまったく登場しなかった「倉林参議院議員は中京市会議員補欠選挙で当選した」。こうした話をして当選が当然であるかの訴えしていた。渡辺委員長の必勝訴え談話もそうだった。しかし1年前の地方選で共産党の平井氏は1位当選していたのに、今回は自民・維新に破れ3位となった。松竹・鈴木の除名処分問題が大きく響いたことは明確である。
 そして志位議長はまったく姿が見えなかった。教育部長会議での共産主義=自由時間論についての講演。そして7月10日新刊発売記者会見の準備に追われていたのであろう。投票日前日の6日になってようやく現れ、蓮舫氏の応援演説を行った。党首としては失格である。
 ところで党内組織の責任者のようにふるまっている市田副委員長はどうだろうか。議員でもないのでどこからも呼ばれずまったく姿を見せなかった。ようやく最終日の6日に志位・蓮舫演説に傍聴者として参加した。志位氏の演説を「さすが論理的で力づよく感動した」と述べるとともに、蓮舫氏に対して「はじめて演説を聞いたが、暮らしに密着した内容、歯切れよく無駄なフレーズが一切にない」とほめちぎっている。問題は最終日になって「はじめて聞いた・・」と書いていることである。
 それでは市田氏は選挙中何をしていたのか。7月3日の彼のフェイスブックを見た。なんと紀伊国屋サザンシアターで行われている文学座公演の「オセロ」を観劇に行っていた。そしてその日のフェイスブックに、その出来栄をいかにもシェクスピア演劇に通じている文化人のように記している。演劇鑑賞はしたらよいし、その感想をフェイスブック投稿するのもいい。問題は日本の政局に大きな影響がある東京都知事選挙・都議補選の最中に、共産党の副委員長たる人が観劇に出かけ、それを広く社会的に開かれているフェイスブックに書き連ねるようなことはすべきではない。議員でないから演説会弁士として出番がなくても中央や自宅で支持拡大の電話かけをしたらよい。多くの人が批判の書き込みを行っているが、消そうとしていない。お粗末というしかない。このような人物を副委員長して担ぐようでは共産党の幹部の水準がどの程度の物であるか自己暴露しているにほかならない。
 ところで田村委員長は記念講演の後半で「共産主義=自由時間論」を説いた。内容はこの間の志位講演の受け売りだから、改めてふれない。ただ一言皮肉を言っておく。田村氏は「共産主義=自由時間論」を説くにあたって「資本論草稿集」を持ち出した。志位氏がこの説を言い出したのは1カ月前の民青主催のセミナーが初めてである。資本論三部をまともに読んでいることさえ怪しげであるが、ましてや1カ月で田村氏が「資本論草稿集」を読んで理解したとは思われない。こんな馬鹿げたことは止めるべきである。

コメント

  1. 滝沢信男 より:

    このように、厳しい総括がないと前進は望めませんね! 田村さんが102周年記念講演なんて所詮無理ではないでしょうか?

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