志位氏、反論しない高校生や外国人を前に「共産主義=自由論」を説いてご満足のようですが、現実政治と無関係な世界への逃避、そして整合性のないご都合主義の言説、その道義的責任が問われる。
赤旗紙上で連日志位氏はイギリスのコービン氏との会談を写真入りで報じている。このことについて共産党を除名された松竹伸幸氏が自らのブログで皮肉を込めて書いている。赤旗ではコービン氏を英労働党前党首として紹介している。しかしコービン氏は労働党を除籍され、無所属で立候補し小選挙区で労働党の現職候補を破り国会議員に返り咲いた人である。除名された松竹氏が小選挙区の東京で共産党の山添氏を破った場合、共産党は核兵器禁止の政策で一致するからと言って志位氏は松竹氏との合意を喜び握手し二人で写真をとり赤旗に掲載するだろうか。そうした方が良いと思うが。
昨年秋「ヨーロッパ左翼との交流」と称して緒方副委員長をオーストリアなどに派遣した。その中の報告でオーストリアの二つの都市で共産党が躍進したことを受けて、志位氏は中央ヨーロッパでも共産党の新たな前進と発言した。ところで今回、志位氏が訪ねているドイツにおいて東部2州でナチスを肯定したりユダヤ人攻撃をしている「ドイツのための選択」という右翼政党が第一党に、躍進したことについて全く論評していない。つまり自分たちに都合が良いと思われることにつては背景説明もなく美化報告し、都合が悪いことは論評どころかまともな報道さえしないご都合主義である。私はいずれの国もコロナ前に調査に行ったことがある。
第二次世界大戦が終わった時、東ドイツもオーストリアもソ連軍に占領されていた。スターリンはドイツの中立化を求めたが米・英・仏は拒否した。代わりにオーストリアが中立化され共産党の影響は弱く東欧のように共産党が政権につくことはなかった。オーストリアは戦前から、社会民主党が強く戦後長く政権を担当してきた。そうした中で住宅の圧倒的多数は公営住宅であった。それが経済困難の中で家賃の値上げに踏み切った。それに対して共産党は反対し二つの市で民意を勝ち取った。しかし共産主義が信任を受けたわけではない。
共産党を含めて日本の「進歩勢力」はドイツでは戦後民主化がすすみナチスは徹底的に排除されてきたと報じてきた。しかしそれは西ドイツのことである。東部ドイツは東ドイツ時代スターリンの統治政策によってナチスは追放されなかった。マッカーサーの天皇免責と同じであった、それどころか公務員・教員など社会のあらゆる場所でナチスは生き延びてきた。東西ドイツが統一された時も東ドイツのそうした状況には手が入れられなかった。西ドイツの資本は東ドイツの低賃金(当時1/4ぐらい)高い理系教育を評価し旧ナチス問題には手をふれず大急ぎで旧東ドイツへ資本投資した。しかし現在でも国民一人当たりの所得で西ドイツと比べて1/2位の状況にある。この不満、そしてアフリカなどからの難民がトルコやギリシャを経由して東ドイツに入ってきているため反移民の世論が強い。「ドイツのための選択」は西ドイツとの格差、反移民を掲げて大きく前進したのである。東ドイツの状況を踏まえないドイツ美化論を展開してきた志位氏ら共産党指導部は反省してほしいが多分しないだろう。そして東部ドイツに限らずフランスを含めて現在ヨーロッパ全域で右翼的潮流・反移民世論が急速に広がっているにもかかわらず、赤旗ではまともに報道せずオーストリアでの理由のある例外現象を持ち上げることは党員や支持者の世界認識を誤らせる。ましてや歴史的知識が不十分な高校生を本部に招いて講義したり、日本の事情を良く知らない外国人相手に「共産主義行=自由」」論を説いて反論がないことに満足したりすることは現実政治からの逃避である。福岡の神谷貴行氏の除籍・解雇にたいして福岡県委員会の前だけではなく中央委員会の前で6名の党員が抗議行動しているという反民主主義・反自由の言動を行っているという事を隠して「共産主義=自由」論を説くことは道義的堕落である。
3日の小池書記局長の定例記者会見において「安保法制廃止を棚上げにした立憲民主党との野党共闘は成り立たなくなった」と表明した。今になって何を言っているのかと思うが別途述べることにする
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