自民党総裁石破茂、立憲代表野田佳彦、新しい枠組みで総選挙
自民党の総裁選挙で石破茂氏が選ばれた。29日付「赤旗」を見ると「表紙替え不信ぬぐえず」「日本を守るどころか危険増す」との見出しや主張が論じられている。そこでは石破氏の「憲法論」「安全保障論」「経済政策」を批判している。批判の内容は正しいと思う。それでは高市氏が総裁に選ばれていたらどう書いたのだろう。つまり本質論的情勢論で具体的問題を具体的に検討するという態度ではない。石破氏はここ十年余り「党内野党」でやってきたために 国会議員の支持者は少なく「下手に動く」と党内から離反が起こる可能性がある。そのため発表された党役員・内閣人事の中心は「派閥横断型人事」になっており実行する政策は、従来の彼の主張はひっこめざるを得ないだろう。高市氏に党役員就任を打診したが断られた。結果として「脱旧安倍派人事」になりそうである。
立憲代表に野田佳彦氏が選ばれた。共産党の田村委員長、小池書記局長は野田氏が「共産党とは政権をともにすることは無い」と発言したことを捉え「話し合う前から排除の姿勢」と批判し小選挙区において可能な限り候補者を出して独自に闘うとしている。しかし前回の2021年の総選挙においても閣外協力が合意事項であり政権合意では無かった。にもかかわらず共産党は「共産党も参加した政権を実現しよう」と訴えた。結果は共産党も立憲も大後退した。立憲の枝野代表は敗北の責任を取って辞任した。共産党は相も変わらず「方針は正しかった。後退したからといって責任など問題にならない」と言うのみならず志位委員長は「もう少しで自公政権を追い落とすところまで行っていた」などとおよそ現実離れした主観的評価を述べた。
さて総選挙が近々に行われる見通しである。自民党は前回の圧勝より後退する可能性はあるが、石破内閣の登場で後退を最小限にとどめるだろう。立憲は野田氏の登場で前回の後退を多少取り戻す可能性があるだろう。維新は万博・IRで支持を後退させていた時に兵庫県の斎藤知事問題で曖昧な態度を取り続け県民・国民から大きな批判を受けている。そして斎藤知事にたいして辞任を求めるだけではなく「辞任し、出直し選挙」を提案した。斎藤氏はそれを好機と捉え、そのようにふるまっている。維新そして自公、立憲は辞任を求めたが知事候補を出して来なかった。乱立になり知名度のある斎藤氏が漁夫の利を得る危険がある。その場合どう責任を取るのか。衆議院選挙と兵庫県知事選挙は同じ時期に闘われる。維新は「野党第一党」どころが大幅後退するだろう。共産党の出番である。自公政権・立憲・維新を批判し「共産党こそ政治を大本から変える唯一の正しい政党」と自画自賛し主張をするだろう。そこまでならまだ前進の可能性はある。しかしよせばいいのに現実政治と何の関係もない「共産主義社会こそ自由で、労働時間の短縮で人間の全面発達する社会」を打ち出そうとしている。それでいて「全党員が参加した党首公選制」などの党改革を提案した松竹・鈴木を問答無用に除名し、それに批判的意見を述べた人々を徹底的に排除するようなやり方を続けているようでは折角の「チャンス」を生かせないだろう。
そしてこの間、国民の前で自民党の総裁選挙、立憲の代表選挙が繰り広げられてきた。小池書記局長ら共産党の幹部は記者会見において「革命党である我が党は党員が参加した選挙はしない」と公言してきた。これがどれほど国民から顰蹙をかってきたのか分からないところに悲劇がある。共産党は全国の小選挙区で200名の候補者を擁立しよとしているが、6億円の供託金を県委員会が負担しなければならない。そんなお金は何処にあるのか。毎日の「赤旗」で全国の小選挙区の候補者が発表されている。しかしその多くは元国会議員や元地方議員の人々である。京都一区で穀田国対委員長のあとを継ぐ候補者は先の地方選で落選した元京都市会議員団団長の井坂博文氏(68歳)である。立憲から候補者調整を申し入れられ、立憲の候補者がいる選挙区の「予定候補者」を下ろし供託金の負担から逃れ「自公政権に審判を」の「大義名分」を得られるかどうかが鍵になるのでは。
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