「少しは反省したのか?」(9月17日付け常任幹部会声明) 9月18日 鈴木元

鈴木元
私は9月12日から15日まで4日間、被災地能登半島のベトナム人支援と実情調査に出かけていた。これについては別途書く。
1)今日18日付けの「赤旗」に17日付常任幹部会声明として「総選挙勝利を正面にすえた活動にきりかえることを心から訴えます」が掲載された。これまでの「指導」に少しは反省したのであろうか。
昨年の統一地方選挙の前に二つのこと、一つは党首公選制を唱えた松竹伸幸氏と私・鈴木元を問答無用に除名し党内外から大きな批判を浴びた。もう一つは選挙と拡大について並立に書けば選挙が近づくと拡大はないがしろになるので、あくまでも党勢拡大を第一とするという方針が「貫かれた」。この二つのことが重なり結果、都道府県議員の20%が落選し135名の現職を失うという大敗北を期した。
今回は総選挙が近づいたので「総選挙を正面にすえた活動に切り替える」とされた。それでは昨年の方針は間違っていたことになるが、その点についてはまったく触れられていない。いつもそうなのである。反省も総括もなく突然さも当然な方針のように述べるのであるから本当の力にはなりにくい。
2)ところで予測される総選挙、自民党は金権腐敗問題あいまいにしていることろに、改めて統一教会問題が再浮上し国民の批判は厳しい。立憲を抜いて「野党第一党」を目標にしてきた維新は万博・IR問題で急速に支持を失ってきていたところに、兵庫県斎藤知事問題であいまいな態度をとり続け批判の矢面に立っている。まさに立憲と共産党の出番である。立憲は今度の総選挙の目標として「政権交代」を掲げているが、それにふさわしい「骨太な日本論」を展開するわけでもなく、野党共闘のために動くわけでもなく、「昔の名前で出ています」野田元首相を代表に担いでは、国民が政権交代を託すわけはない。
 それでは共産党はどうか。立憲が安保法制批判を放棄したことなどを理由に野党共闘は成りたたず共産党の躍進こそが政治を変える力だとして小選挙区の候補者を可能なかぎり増やし比例で650万を獲得し(21年総選挙での得票は416万票)比例の全選挙区で議席を獲得するとしている。現在の政局、各党の動向を見た時、小選挙区制で可能な限りの候補者を立候補させれば比例の票は上積みされ前進するかもしれないし、そうなれば良いことである。しかし必要性と願望だけでは前進しないことは、昨年の統一地方選挙後の中間選挙では良くて現状維持、多くのところで後退してきた。まずは方針の現実性である。
 小選挙区の候補者の供託金(1人300万円)は都道府県の負担である。財政難のところに135名もの現職落選者の生活費(給与支給)の確保に苦しんでいる時にその財源はどうするのか。中央委員会の建物のリニューアルのために全国的に5億円も集めようとしているのである。選挙の資金はどうするつもりだったのか。赤旗の減紙で赤旗は財政的に発刊停止の危険があると何回も訴えられてきた。到底、力量に見合った整合性のある方針とは思えない。財政政策の失敗が機関紙発行・事務所維持・選挙闘争・赤旗記者を含めた専従職員の維持の全てに渡って危機的状況にある。到底それを見据えた方針とは思えない。全党で党の現状と打開方向について真摯な議論が必要である。
3)現在自民党の総裁選挙、立憲の代表選挙が行われている。マスコミは過剰に報道し国民の目をそちらに向けさそうとしている。しかし小池書記局長は記者会見において「共産党はどうなのか」(党首選挙をしないのか?)の質問に対して「共産党は党員参加の選挙はやらない、このやり方(前指導部が次の指導部を任命する)が一番民主的である」と答えている。これでは国民は「共産党があれこれの政策で何を言おうが、到底政権を任せる事が出来る政党では無い」と考えざるを得ない。昨年の統一地方選挙で大敗北した大きな理由の一つは、党首公選制を提案した松竹・鈴木を門戸無用に除名したことであるが、その解決のために動くどころか、それに批判的意見を述べてきた福岡県の神谷氏を除籍し、神奈川県の大山氏を全党が見ている前で徹底的に抑圧的態度を取ってきた。これらについて何の反省も打開の態度を示さず、無かったことのようにふるまっているが 国民は見逃さないだろう。
 共産党がどう批判的に扱おうが総裁・代表選挙を行っていることが自民党・立憲の党員・党友(後援会員)の党への帰属意識を高めエネルギーを引き出していることを見なくてはならないだろう。今時、選挙を行わないこと「革命党」の特質として説くようでは、到底「国民政党」にはなれない。
4)9月30日に第三回中央委員会総会を「オンラインで総選挙必勝を目指す決起集会」として開催すると発表した。志位指導部は中央委員会総会で情勢・到達点・闘い方について中央委員の英知を結集して方針を練り上げるのではなく、中央委員は志位指導部の「方針」を聞いて翼賛・発言する人としてしか見ていないことが、はしなくも露呈した。
5)ところで今日18日、志位氏のヨーロッパ訪問報告がユーチューブで全国に流された。残念ながら私は先約があったのでユーチューブを生で見れなかったので明日以降の「赤旗」等で見てコメントを書くことにする。
 これらの問題を考えるに当たって拙著「世の中を変えたい人へ」(あけび書房)を是非、講読して読んでいただきたい。私の80年の人生を通じて、その時その時の節目において私が体験し考えたことを率直に記述し教訓化しています。

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