鈴木元氏のFacebook から「自民党危機の時、共産党は何をしているのか」

鈴木元
鈴木元氏のFacebookの投稿を全文引用する形で紹介する。
自民党危機の時、共産党は何をしているのか
 金権腐敗・政治資金規正法問題で自民党は前代未聞の危機にあることは日々のマスコミが報じている通りである。本来共産党の出番である。立憲と国民民主は共同提案を進めているが、共産党は、この追及で野党共同のイニシアチブをとるどころか、世論を結集する役割さえ果たせていない。それどころか毎日の赤旗を見ていると相も変わらず党勢拡大と志位議長の「共産主義=自由論」の記事ばかりである。
 正直言って、何度注意しても、同じ誤りを繰り返している共産党にたいして、ものを言う気もなくなりつつあるが、今という時期を逃して共産党の再生はないだろうと思うので、あえて書く。
(1)党勢拡大運動の破綻
 第二回中央委員会総会の表向きの唯一の議題は、党勢拡大を目指す第三回目の手紙であった。私は「これで4月は増勢するかもしれないが5月は減るだろう」と書いた。4月の結果は日刊紙は74部(1県あたり2部もない)増えたが、日曜版は135部の減紙であった。そして5月16日の推進本部の訴えでは、5月の拡大は4月の拡大の6ー7割り程度であると報じ、「手紙の読了党員は27.6%、支部からの手紙の返事は1.8%にとどまり、現状では全支部運動の土台がつくられないまま時が過ぎることになりかねません」と述べている。私が警告した通り5月は減紙になりそうである。なお私が居住し私を除名した京都では4月度、日刊紙7部減紙、日曜版61部減紙している。
 そして5月9日に行われたオンラインによる地方議員会議における田村委員長の報告では28回党大会から29回党大会にかけて331名の議員が減ったが、大会以降の2カ月でさらに20名の議員が減ったとされた。議員を増やすための結論は、党勢拡大であるとする提案であった。お粗末としか言いようがない。
 ところで、このような減紙が続けば赤旗日曜版の値上げ、日刊紙の減ページも時間の問題だろう。減ページの日刊紙においても、志位議長が講演すれば、その講演全文を何ページも取って報じ続けるのだろうか。志位議長の「赤旗」私物化以外の何物でもない。
 なお、私は以前に、この「全党員への手紙運動」は、第7回大会6中総の「党勢倍化をめざす全党員への手紙」運動の焼き直しであり、条件が全く違う下での提起は党を疲弊させるだけで失敗するので止めておくべきであると警告した。「党勢倍化の手紙運動」は安保闘争の高揚の中で大衆運動のイニシアチブを取っていた共産党がその社会的影響力に比べてあまりにも党勢力が小さいのを克服する運動として提起され成功した。しかし、それから70年も経った共産党は、拡大運動一本で疲れ果て、高齢化し、国民との結びつきも縮小している今日、「党勢拡大の手紙運動」など成功するわけもなく一層疲弊するだけだと論じた。今まさにそのことが証明されいる。一度止めて、党の立て直しを図るべきである。
 しかしこのような昔帰りの「手紙運動」などの提起は「昔の成功を知っている 高齢の幹部」が執拗に言いださない限り行われないだろう。当時27歳で滋賀県党の専従であつた91歳の浜野忠夫副委員長・人事局長以外に考えられない。
(2)続く現職議員の離党・無所属化
 前回、青森市会議員の離党・無所属化を論じた。
 今回、判明したことは埼玉県蕨市宮下奈美市会議員が離党し無所属となったと、5月16日の朝日新聞ならびに5月17日の産経新聞の埼玉版が報じた。その理由は党内のパワハラについて意見を上げても解決されなかったからと報じている。埼玉県党では他にも地方議員の無所属化など福岡県と並んで多くの問題が噴き出ている。今後、論じていく。
(3)大山奈々子議員の発言・意見が明るみに出る
 5月1日発売の「日本共産党の改革を求めて」(あけび書房)において、党大会において「出版より除名が問題」と発言した神奈川県党議員団長の発言関連文書が資料として掲載された。その中には党大会後、大山氏が党中央に上げた意見書も納められている。この本を編集した人々による記者会見が5 月1日に開催された。そこで編者らは「大山氏とは接触していない」と述べ、暗に中央の関係者から漏れたものを手に入れたと示唆される発言が行われた。いずれにしても二中総の小池書記局長の秘密報告が事実とすれば、既に中央は大山氏にたいする理不尽な「調査」「指導」を行っている可能性がある。注視する必要がある。
(4)志位議長による時代錯誤な青年向けの共産主義論講演
「赤旗」日刊紙に、先日行われた志位議長による青年向け講演が連日のように何ページも取って報じられている。主たるテーマは「共産主義=自由」社会論である。1991年にソビエトが崩壊する前に述べていた共産主義論の蒸し返しである。ソ連が崩壊し資本主義国になったことも、行き詰っていた中国やベトナムが資本主義を導入し大飛躍し共産主義の神話が崩れ去ったことなどまったく無視である。
物心が着いたころにはソビエトは崩壊していた現在の若者に「純理論としてマルクスがどう言っていた」かの「お話」は現状に不満・怒りをr持っている一部の若者には受けるかも知れない。しかし資本主義的私的所有を改め社会化するなどは100年単位の先のことであるし、先進国である日本などが一国で資本主義から脱出するなどありえない。そのようなことをしようとすれば多国籍企業化している企業は海外脱出するだけである。国際連帯に基づく息の長い改革の積み重ね抜きにあり得ない。しかし共産党はそのような大衆運動を含めた提起・組織化・運動化を全くしていない。
 要するに今日、青年を含めて国民がぶつかっている生活困難を打開するための闘いを組織することもなく、100年200年先の社会主義・共産主義の空想的自由論を述べているだけである。これでは「教祖・志位和夫氏による1000年王国論である」と言われてもおかしくない。
 こんなバカげた講演を中央幹部の誰も止めないのか、いまや減紙でその発行も危ぶまれている赤旗日刊紙の何ページも何日も取った連載を掲載することを赤旗編集局員は誰も止めないのか。「赤旗」はますます危機になるだろう。

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