奈落の底の自民党の前に自壊が進む共産党 鈴木元氏がFacebookで痛烈批判

鈴木元

 

政治献金問題、統一教会問題で岸田政権の支持率は21%と風前の灯、奈落の底状態で倒閣運動のチャンスの時期である。にもかかわらず野党の支持率は上がらず国民の中に閉塞感といらだちが広がっている。今こそ「健全野党」として共産党の出番の時である。にもかかわらず共産党の支持率は2%を割り、れいわ新選組と並んで1.6-1.7%と言う状況にある。それどころか党大会で神奈川県議員団団長の大山氏の「出版より除名処分が問題」とのまっとうな発言にたいする田村副委員長(当時)等のパワハラ発言にたいして党内外から批判が巻き起こっている。
(1)中北浩爾氏まで名指しで批判
今日、2月21日の「赤旗」に谷本諭・理論委員会事務局長の名前で「中北浩爾氏の批判にこたえる」なる論文が掲載された。中北氏は著名な政党研究者で自民党についても「自民党」(中公新書)を発行しているが、共産党についても中公新書から「日本共産党」を出版しベストセラーになっている。読めば判るが極めて客観的・冷静に記述しており党員が読んでも「なるほど」と大きく賛同できる本である。

氏はそうした点から時々マスコミの質問に答えて共産党の言動にたいして辛口の苦言やアドバイス的発言を行っている。おそらく現代の日本の政治学者で一番共産党にたいして理解と期待を示している学者である。その中北氏にいして赤旗紙上で名指しで批判したのである。これは日本の知識的な人々にたいして「共産党はそこまでやるのか」と失望を生むだろう。
谷本論文の中心点は「中北氏は我が党にたいして安保容認・民主集中制放棄を迫っている」というものである。安保容認については、このフェイスブックで私が何回も取り上げている問題であり、松竹氏への批判・除名処分の理由にもされてきた。しかし志位委員長自身が「我が党が入った政権では自衛隊は合憲である」と語り「他国から攻められた場合、安保第五条による米軍の出動は認めざるをえないし、国民の合意に基づき安保を廃棄していく」と語ってきた。志位氏が言うことは問題でなく、松竹氏や中北氏が言えば「綱領違反」「共産党への屈服をせまる論」と言うのは無茶である。
民主集中制について谷本論文は相も変わらず「五つの原則」を上げ、最も民主的な制度であり攻撃される筋合いは無いと書いている。私は既に何回も記しているが、問題は「書いているが行っていない」・・指導部は選挙で選ぶ、前の指導部が次の指導部を提案するなど世間で言われている選挙は行われていない。民主的討議の上、多数決で決定する・・第8回党大会以来、一部例外を除いていつも満場一致である等。「書いていないが行っている」党大会代議員の7割を超える人々が共産党から給与を支給されている専従者である。県委員長は全員中央役員で中央から他の県常任委員の1.3-1.5倍の給与を支給され中央の決定に100%賛成しなければならない状態におかれている。市田副委員長に至っては自分の本の宣伝を赤旗に四段抜きの広告をださせ全国47都道府県委員長に名前入りで「私も推薦します」と書かせている。「分派・派閥は許さない」としているが分派の規定はなく中央が分派だ」といえば分派になる。私と松竹氏は安保・自衛隊政策で意見は異なるし、出版にあたって校正のために喫茶店で1時間ばかり面談しただけであるが、中央は分派として除名処分した。
今回の中北氏批判は知識人を含めて多くの中間層から共産党が見限られる契機になるだろう。
(2)失敗済の「党勢拡大」を繰り返し主張する山下副委員長
同じく今日、21日の赤旗で山下芳生副委員長・推進本部長代理の緊急訴えが掲載された。そこでは「2月を、目標を掛け値なしにやりぬく最初の月にしよう」と訴えている。そして「県・地区の掲げた2月目標は決して多くないと」と数字を挙げて主張している。2022年8月から12月の「特別期間」その後の2023年1月から党大会を目指す「大運動」を18カ月間連続に党勢拡大を第一にしてきて130%どころか前大会回復もできず現勢後退したのである。そしてこの2月も前進できないままにいるのに「数字だけ」を上げて達成を呼びかけるなど疲弊した党を破壊するだけである。党員拡大を優先し10000人に入党を働きかけ1000名の入党者を実現しようと語っている。毎月、死亡を含めて少なくとも500人以上が減っているのである。今月に入っての入党者は200名余りである。どうして1000名の入党者を迎えるのか、この方針で党を動かそうとする限り党は一層疲れ果てるだけである。繰り返し言っているが、一端「月間方式」は止めるべきである。
(3)惨状を言わざるを得なくなった大幡機関紙活動局長
予てから私は諸般の事情から党内はそうなっているのではないかと書いてきたが2月17日の赤旗において大幡基夫機関紙活動局長の名前で党づくりについての論文が掲載された。そこでは①「いま全国で日刊「赤旗」を読んでいない党員が4割を超えています」②「大運動期間中の入党者の内日刊紙を購読しているのが3-5割にとどまっています。地区段階では新入党員の日刊紙購読が3割以下の地区がある」③1月に開催された党大会決定を3月末でに5割の読了を突破しよう(あくまでも目標)と書いている。 今回の党大会でやたらと「革命党」が強調されているが、「革命党」どころの話ではない。無理に無理を重ねてきた党勢拡大運動で共産党は内部から急速に自壊していっているのである。「あらゆるつながりを生かして党員拡大を(読者拡大ではない)」は赤旗の購読を含めた党生活の三原則もの説明・同意もなく入党者にしているのだろう。私が予てから党員の大会現勢を回復したとする内田福岡県委員長にいして「無理をしては駄目ですよ」と指摘していたことが現実化してきたのだろう。大幡論文では書かれていないが党費の納入も5-6割りぐらいの状況と推察される。志位指導部は、現勢の後退だけでははなく、このような惨状の党にした責任を明確に取らなければならない。

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