鈴木元氏が共産党4中総報告を受けて感想をFacebookに投稿

鈴木元

第4回中央委員会総会における田村智子委員長の「報告」について

           2024年1月10日 鈴木元

今日1月10日と明日11日に第4回中央委員会総会が開催され、冒頭の田村委員長報告がユーチューブで配信されるので、連日の赤旗でその視聴が呼びかけられた。私も開いてみた。動画の下に「決議案」と書かれていたのでチェックすると決議案が出てきた。田村氏は「読み間違ったら駄目ですので眼鏡(老眼鏡)をかけます」と言って決議案をなぞって読み上げた。

時々ほんの少し補足したが基本的に決議案そのものであった。討議は非公開になるが現在の中央委員会の状況から多少文言が変わることがあっても基本点では変わらないだろうし赤旗に掲載されるのは12日以降になるが私は京都を離れているので「決議案」に基づいてコメントを書く。内容はこの間、フェイスブックで書いてきたことを超えるものではないので、それほどのものではない。

(1)結局、総選挙総括は深められず、野党共闘の提起はなかった。

この10年あまり、選挙結果に基づく文書は「政策は正しく、浸透したところでは支持は広がったが全体としては、それを生かす力が足りず後退した。次回選挙まで130%の党勢拡大を」繰り返してきた。先の総選挙で共産党は10議席から8議席に後退し、わずか5年前に結成された、れいわ新選組に議席も得票も及ばす第7政党に後退した。私が予てから言ってきたように「このまま改革しなければ、国政レベルでは取るに足らない勢力になる」となってしまった。今回の4中総の最大の課題は総選挙総括をきちんとし、それを力に参議院選挙・都議会議員選挙の前進へ臨むことである。

ところが4中総では、二、総選挙総括と教訓において(1)中間総括を中央委員会総括として確認するとされた。「中間総括」とは、昨年11月の全国都道府県委員長会議での報告のことであり、それは10月27日の投票結果が出た明くる28日の常任幹部会声明を、そのまま踏襲したものである。すなわち「政治論戦は、全体として的確なものであったが、その内容を多くの国民に伝えることができなかった。国民に伝える活動の絶対量が足りないという根本的な問題とともに、活動の仕方を改革する必要がある」とし、この中間総括は全党に積極的に受け止められている。これらの諸点を第4回中央委員会総会として確認する」とされた。これでは何も総括しなかったことになる。立憲の野田代表から44名の自民党金権腐敗議員を落とすための候補者調整を呼びかけられたが「金権だけでは」と断った。比例の得票を増やすために可能なかぎり小選挙区での候補者を擁立するとして前回の倍の候補者を擁立し133名が供託金没収となり4億2600万円没収され、都道府県党の財政難をもたらしたことなど総括と対策が必要であるがまったく触れられなかった。

そして7月の参議院選挙にどう臨むかである。立憲の野田代表から一人区での候補者調整の申し入れを受けており、それにどうするかが求められていたが「引き続き市民と野党の共闘を追求」といいながら、なにも方針は提起されなかった。

(2)参議院選挙の獲得目標ー650万、得票率10%以上。比例で改選4名を5名への躍進、選挙区では東京・埼玉・京都での現有議席を絶対確保する。神奈川・愛知・大阪などの複数区を中心に議席増に挑戦するとされている。先の衆議院選挙での得票は336万2千票(得票率6.16%であった。どうして314万票も増やすのか。なにも無い。この票では5議席どころか4名も無理であり3名とれるかどうか、つまり小池晃、山下芳生に続く井上哲士が当落を争うことになる。選挙区ではどうだろうか。6名区の東京はギリギリであったが、都知事選挙に立候補した連坊氏の後の補欠選挙が行われるが、今のところ蓮舫氏は立候補を表明していない。あれほど自信過剰であった蓮舫氏が立候補表明できないほど打ちのめされたのであると考えられる。それを党議長の志位氏は「次につながる一歩前進」と言ったのである。さて埼玉はどうだろう。予てから草加市などでセクハラ・パワハラが問題となり、草加市市会議員は共産党が5名いたが3名が離党、1名が議員辞職したため今や共産党の市会議員は1名になってしまっている。先の衆議院選挙での比例の各党別得票は自民746,184票、立民704,233票、国民395,017票、公明349,164票、維新221,900票、れいわ219,287票、共産212,417票であった。4名区の埼玉で当選する可能性はまずない。最後の京都はどうだろうか。先の衆議院選挙の比例の得票は自民228,401票、立民193,727票、維新168,030票、共産127,282票、国民103,519票、公明97,363票、れいわ68,077票であった。つまり2名区の京都で倉林明子氏は難しいのである。ただし選挙は過去の得票だけで決まるものではない。西山とき子氏以来6年毎の選挙は組み合わせもあり当選してきた。今回も今のところ立民は候補者を擁立していない。したがって倉林氏が当選する可能性がないとは言えない。踏ん張り次第だろう。後の複数区はめどがないだろう。現職のところに力を集中すべきだろう。

(3)いくつかのわけの分からない方針

1)500万の要求対話・要求アンケートの推進

要求型選挙・対話と支持拡大・党勢拡大のために500万人の要求アンケートを進めると提起している。支持拡大や党勢拡大の手として要求アンケート活動をしても簡単に支持拡大や党勢拡大に結びつかないことは少しでも現場の実情を知っていれば分かることである。しかも得票目標を650万としているのに要求アンケートの目標は500万人としている。このちぐはぐさに矛盾を感じていない。

2)「しんぶん赤旗」を守りぬき発展させるために100万の読者回復、10億円の募金を訴える。昨年の初頭まで「「赤旗」の読者数は85万と言われていたが、昨年1年間だけで日刊紙約7000人の減、日曜版約40000人近い減で計50000人近い減が起こっており実質80万人を割っていると推察さている。つまり100万人の読者にするためには20万人拡大しなければならない。どうしてやるのかの方策は提起されていない。いさましいだけである。ところが、そのあとに10億円募金を訴えるとされている。10億円はとてつもない額である。中央委員会の建物の補修のために、あと1億5000万円の募金を訴えたばかりである。先の衆議院選での供託金没収の穴埋めに4億2600万円のお金が必要な時である。そして来る参議院選のために募金をしなければならないのである。そんな時に「赤旗」の維持のために「10億円募金の訴え」である。しかも先日、紙の「赤旗」のシステム投資がうまく行かず減ぺ―ジをしたばかりである。志位指導部は「共産党の組織破壊者である」と言っても過言でない。一刻も早く退陣に追い込まなければ、いよいよ共産党は崩壊の道を辿るだろう。これ以上、あれこれの細かいコメントは必要ないだろう。

追記、書き終わった11時前に連絡が入った。栃木県の有名な古書店かぴぱら堂の店主・露久保健二夫婦が除籍された。夫婦は予てから栃木県委員会や中央委員会に党運営の改革を求めて意見書を上げてきた。それをネットで発信してきたが、年末に県委員会から調査の面談申し入れがあったが「年末・年始は商売が多忙な時であり、2月以降にしてほしい」と返事をしていたが、一方的に除籍通告書が郵便で送りつけられてきたそうである。相変わらずである。自分たちに100%従わない者は排除つまり除籍するのである。4中総では「自由な討論が保障されている」とか「個性と多様性を大切にしている党だということを大いに語ろう」と言ってもだめだ。共産党ほど言っていることと行っていることが違う党はない。10日、中央委員会総会が開催されている党本部前で8人の党員が「自由と個性を尊重した党運営を」とのプラカードを持ったスタンディングが行われた。

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