沖縄県議選の選挙分析・総括について 6月20日 鈴木元
普通選挙を分析したり総括する場合、どういう情勢の下で、それとどうかかみ合った政策を掲げたか、候補者の組み合わせ、そして陣営の候補者は有権者にたいして、どのような実績・打ち出し・個性的魅力があるのか。それらを支える党勢力の総合的闘いである。党勢力は大きい方が良いが大きいからといって勝てる分けではない。もっと総合的な闘いであり前回比130%など意味はない。
近年の共産党の選挙総括ではこうした総合的な観点での総括作業がやられていない。毎回政策は正しく浸透したところでは大きく支持広げた。しかしその政策を浸透させ反共攻撃打ち破るだけの党勢力を築けず、あるいは後退させていて敗れた。次回の選挙までに130%の拡大をという論調を繰り返してきた。今回の沖縄の選挙では、それもなく18日、常任幹部会を踏まえ小池書記局長は「自民党隠しと反共攻撃」と訳の分からないことを言って済まそうとした。昨日19日の田村委員長の記者会見では沖縄の選挙結果については一言も語らなかった。あれだけ沖縄県議選の意義を語り、志位議長、田村委員長、小池書記局長、穀田国対委員長が乗り込んで闘ったのである。それについて何のコメントも出さないと言うのは今や共産党は政党としての責任と体をなしていないことを表した。
ところで今回の沖縄の選挙で共産党は7議席を4議席に減らした。つまり4割も減らしたのである。共産党流に言っても前回に比べて党勢力が4割も減っていたわけではない。もしもそんなことになっていたら、それはそれで重大なことである。落選した三人の候補者に特段の大きな問題があったと考えられない。政策は、沖縄においては平和・安全保障問題、困難な経済問題が二つの柱であった。知事選挙や市長選挙にもそうであった。経済では自民党は中央政府との連携を説いてきた。今回も基本的に同じでだが、経済問題で前回から共産党が4割も減らす程の激変は無かった。そうすると沖縄の選挙でのもう一つの争点となってきた、平和・安全政策がどうだっかということになる。
私は客観的に言って、この4年間で一番変わったのは、沖縄にとって一番の政策的重点である平和・安全政策分野であったと考えている。中国や北朝鮮そしてロシアの動きが沖縄県民に従来と異なる認識・感じ方が起こっている。それにかみ合った訴えが行えなかった事以外に四割も減らす理由が考えられないからである。
ここまで書いていて重要なことを思い出した。前々回のfacebookで豊見城市の高山美雪市会議員の問題を取り上げた。公共事業をめぐって偽領収書を市に提出し、それが明るみになり5月10日、市は高山議員を詐欺として社会的に告訴した。しかし共産党側を中央も知りながら内部問題として処理しようとして明らかにしてこなかった。
漸く5月28日になって高山市会議員は議員辞職届を出した。赤旗では「沖縄県議員選挙において、自民党への金権腐敗追及が大きな広がりを示している」と報道されていた。しかし県民から見た場合、共産党の高山市会議員が公共事業で偽領収書の提出し告訴されながら態度を表明してこなかった共産党への不信が広がっていたと考えられる。今回の小池書記局長の談話の中でも、この件は触れられなかった。5月29日の赤旗西日本のページで小さく報じられただけであった。自分の都合の悪いことは本質的問題であっても明らかにしないという態度が、今回の沖縄県議選で沖縄県民は愛想をつかしたという面もあったのだろう。いずれにしても中央委員会は、問題を具体的に分析した総括を示さないままに、東京知事選挙の切り替えるだけでは駄目であろう。
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