鈴木元氏がフェイスブックにベトナムでの活動の様子をアップされたので全文を転載します。

鈴木元

鈴木元さんがフェイスブックにベトナムでの活動の様子をアップされました。このようなレポートはとてもめずらしくグローバルに活動する鈴木元さんの活躍の一端を知ることができると思うので、ご紹介します。

ベトナムにおける障害者支援問題シンポジウムで発言
 今日8月14日から16日にかけて、ベトナムにおいて障害者支援問題の全国シンポジウムが開催された。私が新しく知ったことは①枯葉剤被害障碍者だけではなくあらゆる種類の障害者への支援を課題として開催されたこと。②アメリカが本格的に枯葉剤被害障害者支援で動きだした事である。日本の外務省、JiCAも本格的に枯葉剤被害者支援に動き出す必要がある。このシンポジウムに外国人である私・鈴木元が急遽特別ゲストとして10分間(通訳を入れて20分間)の発言を行い参加した。以下、私の発言を

活動は、ベトナム国内のメディアでも積極的に取り上げられました。

8月14日のシンポジウムでの発言 
ただいま紹介されました日本の鈴木元(Suzuki HajiMe) です。
 私は1997年以来26年間、アジア各国で国際協力事業をおこなってきました。
 ベトナムでは2000年以来、様々な事業を行ってきましたが、主として障害児教育にかかわってきました。
 なぜ、日本人である私がベトナムの障害者問題に大きなエネルギーを注いできたかと言うとベトナム戦争です。この戦争でアメリカは猛毒ダイオキシン入りの枯葉剤を撒き今日につながる多くの障害者を生みました。日本はアジアの他の国と違って、この戦争に直接参加しませんでしたが、沖縄など日本の基地から飛び立ったアメリカ軍の飛行機が枯葉剤を撒きました。その意味で日本の道義的責任は明確だからです。
 私はベトナムが障害者分野で発展させなければならない問題の焦点は二つだと思っています。一つは障害児教育を徹底すること。もう一つは障害者の働く場所を確立することです。この二つは密接に関連しています。障害者をたんに保護する対象とするのではなく、それぞれの状況に応じて仕事をし、社会参加し、それによって家族や近所の人、社会から認めら、自分の人間的存在に誇りを持てるようにする。そのためにその人に応じた教育が保障されなければなりません。
 ベトナムでは未だに多くの障害者が家庭内での保護の対象になっている現実を見て私は心を痛め、何とかしなければならないと考え、2018年からJiCA、枯葉剤被害者協会(VAVA)と協議を重ね2019年10月にJICAの草の根技術協力(限度額1000の万円)でおこなうことで合意しました。
 それは枯葉剤障害者を農業を通じて社会参加・自立へ道を開くというものです。農業は①種まき、水撒きなど、比較的容易に仕事を分解で様々な障害者が参加することが容易である。②作物は成長し収穫の喜びを味わえる。③野菜などの収穫物はお土産品などと違って誰にでも必要なもので家族や近所の人に喜ばれます。
 2020年4月から開始しようとした矢先にコロナが大流行し一旦延期しました。そのご協議を重ね座学はオンライン(ZOOM)で行い。その修了者を日本に招いて実施研修することにしました。
 本JICAプログラムの当初目標は、枯葉剤被害障害青年が農業を通じて社会参加・自立への道を開くことを支援する農業技術者5名、ジョブトレーナ5名を養成することでした。JiCAの資金で2022年4月-8月のオンライン(ZOOM)による座学研修、2022年9月-12月の来日実地研修を通じて農業技術者4名、ジョブトレーナー6名を養成しました。また私達が組織したオレンジ村支援日本委員会が日本市民から集めた寄付によって、2023年1月-3月にホーチミンオレンジ村建設予定地に水耕栽培用ハウス(100平方m)、有機栽培による路地物栽培農地(400平方m)を建設しました。無農薬野菜を栽培し販売しています。
 難題は農場で働く障害青年の雇用定着でした。パソコン操作など室内で働く青年1名は定着しましたが、5月から募集した枯葉剤被害障害青年は知的・精神的障害にとどまらず身体的にも弱い青年がいて亜熱帯地域のベトナムでの屋外での農作業は厳しく定着しませんでした。6月訪問時、そのことが分かり、農場での労働は1日に2時間程度、週2-3日にするなど改善を行いました。現在では午前の就労の人も、午後就労の人も2時間半となっています。その結果、3名の障害青年が定着し野菜の売り上げによる手当も出せるようになりました。現在さらに100平方mのハウスと400平方mの路地物栽培農地の拡大を進めており持続的自立的運営のメドが立ちつつあります。
 8月2日にシンポジウムを開催し以上の到達点、次への展望を確認しました。そして現在JICAにたいしてホーチミンでの到達を踏まえ全国的に広げる提案、すなわちパートナー型(限度額1億円)の採択を協議しています。この8月2日のシンポジウムには、それに参加希望をするVAVA(ベトナム枯葉剤被害障害者協会)の10支部の代表が参加しました。その場で私は次への展開のために三点を踏まえておいてほしいと提起しました。
①障害者共同作業所で働く障害者ならびにそれを支えている職員にたいして補助金のある日本の障害者共同作業所では、どちらかという障害者がメインで健常者が、それを支えるという形になりやすい。しかし補助金なしに経営して行かざるを得ないベトナムでは健常者が中心となり仕事を分解して障害者が働き収益を挙げて行く形を追求していく。
 ここで一例を紹介します。皆さんはオムロンという会社の名前を聞いたことがあるでしょう。日本の国際的な最先端医療機器のメーカーです。この会社はオムロン福祉工場という工場を持っています。そこで各種障害者が最先端医療機器を作り健常者と同じ給与をもらっています。なぜそのようなことができるのか。それは製品を徹底的に分解し、その一つ一つの過程を各種障碍者が作れるようにしています。つまり仕事に合わせて人間の教育・訓練をするのではなく、人間に合わせて仕事を分解しているのです。
②実験農場を建設するにあたって地域の農民たちに農地整備に協力してもらうと同時に、実験農場で農民に水耕栽培や有機栽培による無農薬野菜栽培の技術を教え、地域の農業センターの役割を果たしていく。この実験農場で雇用できる障害者の数は限定されます。実験農場で育った青年は親や近所人の支援を受け、自分の家などで小型のハウスを確保して農業を行い家族と近所の人のための野菜栽培などをおこなど広げていく。余った農産物は実験農場が引き取り販売し、その利益を障碍者に配分することによつて現金収入が得られるようにする。
③インターネットで直接消費者からの注文に応じて栽培し、売れ残りのない生産をおこなう。同時に市場の中間マージンのない効率的運営を行う。バイクに乗れる障害青年による配達を行い、農村部でも高齢化が進みつつあり弁当工房をつくり野菜の配達と併せて注文を受けた弁当を販売・配達するなど循環型システムによって雇用青年と仕事を増やしていく。
 以上を討議し、それぞれの地域の事情に合ったやり方で進めること確認しました。来年にも、このシンポジウムが開催されるならベトナム全土に広がっていることを報告できるようにしたい。

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