素手でトイレを洗いなさいは、洗脳的手法

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素手でトイレを掃除することを強要することは、洗脳の手法であり、カルト的であるということについて、少し解説してみたい。

なお、僕は、何日か前のXで、マインドコントロール的手法と書いたが、これは誤りで「洗脳的手法」というのが正確だ。

洗脳とは、主になんらかの物理的力(ドラッグ、身体拘束、脅迫等)に寄って引き起こすものだが、マインドコントロールは、心理的な操作によって行うものといわれている。

素手でトイレを洗うことを事実上強制するという行為は、より直接的に五感に訴える行動を促すことによって心理的な変容を促すという点で、洗脳的手法と呼ぶべきである。はじめに訂正しておきたい。

さて、今回、Xなどでトイレ掃除をすることを熱心に推奨する方であることが、取り上げられた。

これはビジネスの世界でも盛んに取り上げられており、美談や心をキレイにする行為として持ち上げられている。

他方で、素手で便器を洗うなど不衛生極まりなく、その問題点を知るほうがよっぽど大事、という当然の声も聞かれる。

まず、はっきりさせなければならないのは、普通に冷静に常識的に考えれば、素手であろうがゴム手袋をして道具を使おうが、トイレをより衛生的にキレイにする、という点においてはなんら違いはない、ということだ。いや、むしろ適切に道具を使い洗剤や消毒液を使う方が衛生度は増すというのが、科学的思考を少しでも持ち合わせていれば、同意できる点だろう。

それなのになぜあえて、素手のトイレ掃除に価値があると思わせるのか?それを強要するのか?

それはここには洗脳的手法が使われており、支配するために好都合だからだ。

洗脳の手法は、薬物や直接的な暴力によるものが代表的だが、その中身は、逃げられない状況を作ったうえで、恐怖と安心を入れ替わり立ち替わり体験させる、というものだ。

例えばある会社で、社長自身が「素手でトイレの便器を洗うことに抵抗感を持っている限り、君たちの心は本当の意味で綺麗にならない。売上が上がらないのは心が曇っているからだ。逆に勇気を出して素手でトイレをピカピカにすることで、心はぐんぐん綺麗になり我が社の売り上げも上がるのだ」と挨拶をし、実際に社長自身が先頭にたってそれをやっていると仮定してみよう。こうした環境下で、いったいどれだけの社員が「社長、そんな非科学的なことやっても意味ないっすよ」と言えるのか?そんなことをすれば、出世も昇給も下手をすれば、クビを切られ兼ねないからだ。

そう考えたら、いくら非科学的だと思っていても、それに逆らうよりも従っていた方が自分の地位や立場は安泰だ。そう考えたら、いっときの不快感を我慢してでも従うようになる。

従っていると今度は別の感情が湧いてくる。理不尽な指令と思っていたが、従っていることで守られている安心感。その一方でこの状態をいまだに「無意味だ」とか、「不衛生だ」と批判するものを許せなくなる。

衛生的な不衛生かすら考えることを放棄した人たちは、今度は自分たちの立場を守るために、異質なものを攻撃し始めて、ひれ伏すことを強要し始める。

さらに怖いのは、人間は自分たちの行動に、これはこういうことで意味がある、と行動に理由をつけたがる存在だ。いつしか、積極的に従うことに忠誠や奉仕といった道徳的な意味があると思い込み、そこから外れる人をさらに攻撃する。
ましてや言い始めた人が、社長や校長や党首といった権威を持つ人であればあるほど、その権威性が高まり、思い込みは深みにハマる。

しかし、立ち止まって冷静に考えて欲しい。

素手か道具かに違いはなく、トイレを綺麗にするのに、素手か否かに違いはなく、むしろ道具を使った方が衛生的だし早くできるし合理的だ。

もはや、こうした科学的思考を提起すること自体がナンセンスという風潮を作り出す。

これが洗脳的手法と言わずしてなんというのだろうか?

突飛なことをリーダーが言い出したり、明らかに世間の常識とちがうことをやり始めたら、そこに洗脳の手法はないのか?を疑う習慣をつけよう。

素手でトイレを洗うことは、衛生的でないし、奉仕の気持ち、嫌なことを率先してやる態度は、素手でトイレを洗わなくても養うことは可能なのである。

そしてもっと大事なことは、素手でトイレを洗いなさい、というフレーズでなくても、洗脳的手法は今日の組織において、時に意識的に、時に無意識的に用いられていることだ。

しっかりと見抜く目を養おう。そのためには、自由に意見や批判ができる仕組みがあることだ。一度決まった方針などでも、そこに誤りが見つかればすぐに修正できる柔軟性を持ちあわせていることだ。

 

 

 

コメント

  1. Sonus Peregrinus より:

    あれっ、さっき書いたコメントが消えてしまったのであろうか?

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