【共産党大会特集】土方文書は「トーンポリシング」

29党大会特集

管理人の飯島より
先日よびかけた、「日本共産党第29回大会にむけての討論広場」へ、「もりのくまさん」がさっそく投稿してくださいました。心から感謝申し上げます。
以下、投稿文をそのまま転載いたします。なお、画像の挿入は管理人の判断でやらせていただいております。
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土方文書は「トーンポリシング」
もりのくま

12月1日に、久々に松竹伸幸氏を名指しした批判文書が土方明果組織局長
名でしんぶん赤旗の党活動面に掲載されました。
すでにたくさんの論客が批判され、松竹氏ご自身もYouTubeで批判ののろしを上げられました。
それぞれ、大変学びの多い発言だと思いますが、ここでは私独自の視点から、土方文書は典型的な「トーンポリシング」ではないか?という観点で意見を述べます。
「トーンポリシング」というキーワードで整理すると、除名から党大会に至る現在の構図がとてもすっきり整理されるからです。

「トーンポリシング」という言葉に馴染みのない方のために、ざっくり説明させて頂きますと、トーン(語調)ポリシング(警備、摘発)とは、議論の中身ではなく、言い方、感情(怒りなど)、態度に照準を合わせて、「そん
な感情的な言い方じゃ支持されないよ」というふうに、いかにも親切なアドバイスを装いながら、議論の中身から態度に、巧みに論点をずらして行く手法のことです。
トーンポリシングの何が問題かと言うと、ターゲットにされるのが多くはLGBTQ+、外国人であったり、生活保護受給者など、社会的弱者に向けられることが多いからです。これらの人々が主張する人権の擁護や差別撤廃は誰も正面切って反対することはできないため、「そんな言い方じゃ…」と論点をずらして反撃するのに用いられることが多く、その結果差別や人権侵害を容認する結果をもたらす、という点で極めて有害とされています。

ここまでの説明で、最近印象的だった「ある場面」を思い浮かべた方もおられるかと思います。
そうです。ジャニーズの2度目の記者会見で井ノ原快彦氏が放った「ルールを守りましょう」という発言ですね。
そもそも、史上まれに見る大規模な性犯罪への対応が一向にはっきりしないので、記者会見場に怒号や野次が飛び交い始めた時に「まあまあ」と諭すように行われた発言でした。これも大規模な犯罪の問題を小さな会見場の「ルー
ル」に押し込めてしまう、悪質な論点ずらしでした。

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ちょっとだけ脱線させて下さい。この会見の翌日、「NGリスト」なるものが判明して流れが大きく変わるのですが、このNGリストに対して「言論の自由、報道の自由を破壊するもの」という批判が共産党から出るかと期待し
たのですが、通り一遍の報道だけで終わりました。
実は、この時すでに党大会に向けてNGリストの作成に着手していたのではないかと私は邪推してしまいました。
もちろん根拠はありませんが、今後の大会運営をウォッチして行きたいと思います。
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さて、このトーンポリシングという観点で土方文書を見て行きましょう。
重要なことは、松竹氏ご自身が動画で述べられているように、除名再審査請求が党に送付されてから約1か月間、党からは何の批判もなく、最初に出たのがこの土方文書だったことです。
除名再審査請求の中で、松竹氏は「最も慎重に行わなければならない」と規約に規定された除名審査手続きがいかに杜撰なものであったか、そもそも除名理由とされた「分派」とは何なのか、2000年の規約改定の前後で規約の
中身はどう変わり、現規約の趣旨から見て除名が適切なのか、など多くの論点を提示しています。
これらは、党の側から見ても、党員の規約に対する理解を深める上で役に立つ材料がふんだんに含まれていて、党中央が「除名はこういう理由で適切だった」という反論を展開すれば、多くの党員は規約を深く考えるための貴重な材料が得られたことでしょう。
神谷貴行氏の言葉を借りれば、異論に対する反論はすごく「お得」なのです。
しかし、党中央は松竹氏の提示した論点にただ一つとして反論も、コメントもすることなく、いきなり土方文書で「同調者をつのる」という「やり方」を「規約を破壊するもの」と批判したのです。
松竹氏の再審査請求は、党史や党綱領、党規約などへの深い理解に基づいた説得力のあるものではありましたが、党中央の立場から反論は可能だと思っていました。(ここでは述べませんが)
しかし、党中央は反論を避けました。
なぜ、堂々と「除名の正当性」を主張せずに、トーンポリシング(同調者をつのる行為への批判)に走ったのか?
それほどまでに、大会代議員の共感を得る自信がなかったのか?

しかも、トーンポリシングの過程で、土方明果氏は松竹氏の7月10日のブログを引用するときに、カッコ付の引用文の中で「当時の宮本氏のように」という部分を勝手に削除して引用する、という禁じ手まで使ってしまいました。
ブログの原文を読めば明らかなように、松竹氏は「二心的態度」のような皮相的な趣旨ではなく、「党史に学べば別のやり方もあることがわかる」という趣旨で、党史を深く理解することを勧めているのです。
これを否定すれば「党史を学ぶな」ということになりかねないし、「宮本氏は二心的態度だった」と批判することにもなりかねないので、その部分をこっそり削除した、と見るのが妥当と思われます。

土方文書の底の浅さは以上見てきた通りですが、ここではこの文書が今後の党の議会活動の足かせになりかねない、重大なミスを含んでいる点を指摘したいと思います。

第一は、すでに述べた松竹氏のブログを勝手に「改ざん」した点。これで共産党は森友事件での公文書改ざんや統計不正などを追及する資格を失いました。
(嗅覚の鋭い右派マスコミはすぐ気づくでしょう)
第二は、松竹氏の再審者請求の「資格」なるものを持ち出して門前払いにしようとしている点。共産党の国会議員や地方議員は住民の請願を議会に提出して何度も門前払いされ、大変な苦労をしてきたことを土方氏はご存知ないようです。
松竹氏の再審査請求を門前払いしたり、数を頼んで否決したりすれば、今後自公政権による強行採決さえ、批判する資格を失うでしょう。

松竹氏の再審者請求に提示された論点とガチンコ勝負するのを避け、トーンポリシングという奇襲戦法に走った結果、今後の議会活動の制約になりかねない問題を生じさせてしまった土方氏。
奇襲戦法でその場をしのいだように見えても、大局観を失った党中央はいずれ歴史の厳しい審判を受けることになるでしょう。

現在、党中央は組織的に戦える体制にあり、対する松竹氏は徒手空拳です。
力の上では党中央が圧倒的に有利なのです。
しかし、松竹氏は圧倒的に不利な中でも奇襲戦法に走ることなく、冷静に論理を積み上げて党中央を追い詰めています。
なぜ党中央が姑息な奇襲戦法に走る必要があるのか。
正々堂々と除名の正当性を論理立てて主張し、大会代議員諸氏に判断を委ねれば良いではありませんか。
かつて大横綱として君臨した白鵬が、格下の力士を相手に「猫だまし」という奇手を繰出してブーイングを浴びたことを想起せずにはいられません。
僕の信頼していた共産党はこんなんじゃなかったはずなんだけどなぁ…

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