「党外から突然、党の綱領と規約を否定する攻撃を行なった」として、わずか1時間半の「査問調査」だけで、党を除名された元日本共産党安保・外交部長でジャーナリストの松竹伸幸さんについて、ルールを破ったのだから党を追い出すのは、当然とお考えの党専従、党議員、党員、支持者の皆様に読んでいただきたい一文があります。
たとえ、過去のいきさつはいろいろあったとしても、現在の瞬間を真面目に生きているものにたいしては、大きな視野で進歩的陣営からのさらなる「落伍」のないように「援助していくのが、党の前進のためにも、また、ある個人の人生にとってもより有意義なことではないのかと考えますが、こういう考えは間違っているのでしょうか?
「温かい党」というのは、たんに「仲間うち」のことだけではないはずです。すくなくとも、可能性ある「政治的協力者」を、こちらからつきはなすようなことはやめてほしいと思います。わたしは、長いあいだ党の一員としてがんばってきましたが、こんな了見の狭い党とは夢にも思いませんでした。とても淋しく、悲しい思いがします。
これは、元日本共産党員で「日本共産党への手紙」を編集したことにより党から査問されその後除籍された、有田芳生さん(立憲民主党前参議院議員・ジャーナリスト)のお母様が、1995年5月18日に、当時の党委員長、書記局長、「赤旗」編集局長宛に送った「手紙」からの抜粋です。
オウム真理教の麻原彰晃が逮捕された翌朝の1995年5月17日、「赤旗」は「反共を売り物にする有田芳生」というコラムを掲載。有田さんの母・和子さんが、その赤旗の記事を読んで、党中央宛にしたためたものです。
有田芳生さんがオウム真理教と真正面から戦い、その後は、統一協会批判で今もなお活躍をされ、参議院議員としても多くの実績を残し、野党共闘の立場から、共産党候補の応援演説までかって出られたことは、あまりにも有名です。そこには「反共」を売りにしたなどという修飾語をつけようがない真っ直ぐな生き様がみてとれます。
ちなみに、さきほど紹介した有田和子さんの「手紙」は、「返事はいらない」と書いてあったためか、共産党からの回答はなかった、とのことです(有田芳生氏のTwitterより)
なぜ私が、有田和子さんの「手紙」の一文を今の時期に紹介したのか。
それは、松竹伸幸さんにせよ、鈴木元さんにせよ、南あわじ市議の蛭子智彦さんにせよ、日本共産党の前進と発展を願う思いから声をあげておられるのであり、「ルールを無視している」とか「言っていることが党の基本政策と違うから」とかの理由で、意識的に排除していく党風が是正されなければ、「共産党とともに歩む一人一人の人間の幸せを心から願ってこの人たちは活動しているんだ」という信頼感が有権者、国民のところで得られないと思うからです。
今、共産党が突き抜けるような支持の広がり得られていない根底には、「仲間うちだけの温かさ」にとどまり、「現在の瞬間を真面目に生きているもの」に対して耳を傾け、共に歩もうという姿勢が欠如している、という実態があるからではないでしょうか?(党外の人間が偉そうなことを書いて、すみません)
20年以上もトップに君臨する硬直性と異論を許さないかのように見える党のイメージがあるから、党首公選により安保・自衛隊政策などでも党内の様々な議論があることを可視化させ、党の改革と新しい発展に繋げようと声をあげているのが、松竹伸幸さんだと私は考えています。
今、最も危険なことは、「党の幹部が言っているから間違いない」「ルールを破ったのだから処罰されて当然だ」など、志位さんや市田さん、小池さんら党の最高指導部が話したことを無前提、無批判に「受け売り」してしまう思考と行動だと私は考えています。しかも、何か異質なものを排除するかのように、できるだけ言葉を鋭利に、相手を見下すような敵視の言葉を見つけては、投げつける。そんな姿勢が目立っては、本当に支持を広げるどころかどんどん支持を無くしていくことにつながりかねません。
「指導部のいうことが絶対」という思考停止の行動は、ほんらい進歩的未来を目指す人にとって無縁のものであり排除すべきものではないでしょうか。思考停止の行動が増えてしまうことこそ、実は戦争を準備する動きを見過ごしてしまうことにつながるのだと考えます。
思考停止の無批判な追従こそ、「戦争前夜」の危険な兆候だと私は思っています。
共産党を応援する人たちは、ほんらいそういう思考停止の行動と対極にいる人たちだと信じています。
今、松竹伸幸さんが目指しているのは、自身の処分に対して、党大会での再審査を実現することであり、鈴木元さんは、事実に基づかない指摘を「赤旗」紙上でされたことに対しての謝罪と反論の機会を作ること、再三再四、正規のルートであげている、志位和夫委員長への手紙に対して、真摯な回答をしてもらうこと、です。
どうか、お一人おひとりの良心と信念に基づいて考え、発信をしてください。
その時は、互いを尊重した、討議自体が新たな気づきや運動の前進につながるようなフェアなやりとりをしようではありませんか。
最後に、もう一度、有田和子さんの「手紙」から、引用させてください。
「たとえ、過去のいきさつはいろいろあったとしても、現在の瞬間を真面目に生きているものにたいしては、大きな視野で進歩的陣営からのさらなる「落伍」のないように「援助していくのが、党の前進のためにも、また、ある個人の人生にとってもより有意義なことではないのかと考えます」
令和の日本共産党ウォッチャーは、広がる格差、世界で続く戦争と紛争という現実に抗し、愛と感謝に基づく人間のあたたかい共同で資本主義の害悪を解決し乗り越えるネットワークを目指して、引き続き、日本共産党の動向を熱く、厳しく監視していくものです。
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